私はもともと実家が寿司屋だったのだが、わけあって大学を卒業し、サラリーマンを経験してからこの業界に入った。
修行時代、給料は手取11万だった。拘束時間も長く、時給で計算すると500円位(笑)で、サラリーマン時代に比べ1/3位に減った。当時でさえ労働基準法に違反し、今でいうところのブラック業界である。
でも、技術や経験を得るために行っているのだから、何の不満もなかったし、飲食店業界だけでなく、他の業界も修業とはそんなものだ。
いやむしろ、お金をもらって練習をさせてもらい、良い先輩たちと知り合えたことが今でも財産である。
私は自宅から通勤し、食事も付き、帰る時間も遅かったので、飲んで帰ることもないから貯金もできた。
一般的に、10~15年くらい修行をして職人として腕を磨き、真面目に貯金をすれば500~1000万貯まり、小さなお店を出すこともできる。
これが、料理人が独立するためのビジネスモデルである。
ただ、技術面は別として、多くの職人たちがなかなかお店を出せなかったり、早々に潰してしまうことが多い。
なぜか?
簡単である。飲む打つ買うである。
休憩時間や休日にお金を使ってしまうため、なかなか貯金ができない。そんな人を何人も見てきたし、実はそういう人たちの方が多数派だった。
本当は空いた時間に経営の勉強をしたり、料理をもっと深く追求することが理想的なのだが、そういう人はあまりいない。
今、きっちり自分のお店を経営をしている人たちは、道からそれず、頑張った人たちともいえる。
私はと言うと、そういった事例を知っていたし、貯金をする以前に実家のお店をリニューアルした借金の返済があり、飲む打つ買うの余裕もなかったため、幸いにも道から外れなかった。
今となって思えば、貯金より先に借金をつくり、切羽詰まった状況に追い込んだのが良かったかもしれない。(笑)
さて、サブタイトルの「貯金はするな、借金を作れ」ですが、本当は借金は少ない方が良いに決まっている。
どんな事業も、自己資金をある程度、貯めてから独立したほうが事業が成功する確率は高くなるが、借金があって、一生懸命頑張ると言うのも一つの方法だと思う。
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